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邦坊のデザインに迫る 包装紙や原画150点紹介 善通寺・9月1日まで
琴平町出身で画家、漫画家などとして活躍した和田邦坊(1899~1992年)のデザイン画を紹介する企画展「邦坊デザイン博覧会」が灸まん美術館(香川県善通寺市大麻町)で開かれている。菓子の包装紙や原画、下絵など約150点が並び、人を魅了する作品を手がけてきた邦坊の仕事ぶりがうかがえる。9月1日まで。
邦坊は東京日日新聞(現毎日新聞)の新聞漫画家としてデビューし、小説家としても脚光を浴びた。1938年に戦況悪化などから琴平町に帰郷、65年に讃岐民芸館の初代館長に就任した。画家や商業デザイナーとしても活動し、和菓子などの包装デザインを手掛けた。
今展では約90点が初公開。このうち、県内の製薬会社が販売していた栄養ドリンク「君不老(くんぷろう)」はアトリエに保管されていた未開封の現物。陶器の入れ物にイ草をかぶせたユニークなデザインが目を引く。パッケージ研究の第一人者とされるアートディレクター岡秀行(1905~95年)に注目され、何度も書籍で紹介されていたという。
県内外の菓子の包装紙を展示したコーナーは、色彩豊かで、中には木版刷りされた美術品のようなものもある。このほか、採用されなかった包装紙の下絵や、昭和30年代に制作した観光ポスター、邦坊のデザインが表紙に施された母子健康手帳や長寿手帳などもある。
同館は「どのデザインにも邦坊らしさが詰まっている。ここでしか見られないものが集まった『博覧会』にぜひ足を運んで」としている。
入場料は一般500円ほか。問い合わせは灸まん美術館、電話0877-75-3000。
(四国新聞・2025/06/19掲載)