ニュース NEW
風景の「奥行き」感じて 東山魁夷せとうち美術館 13日まで
香川県坂出市沙弥島の東山魁夷せとうち美術館で、「風景の奥行き」をテーマにした作品展が開かれている。版画を中心とした29点を魁夷のコメントとともに紹介している。13日まで。
今展では風景画における遠近感など空間的な表現と、絵に込められた意図や時代背景の二つの「奥行き」に着目。国内外のさまざまな自然と巡り合い、丁寧に向き合った魁夷に思いをはせることができる。
「若葉の径」は青々とした木々が茂る夏の長野県の森を描いた。奥に進むにつれて細く伸びる道に、森へ誘い込まれているような感覚を味わえる。
満開のしだれ桜と満月を捉えた「花明り」には高度経済成長期の開発が進む京都で、失われゆく美しい風景を描きとどめたいという魁夷の思いが込められている。
同館の北地直子学芸員は「実際の風景を想像しながら、一歩踏み込んで絵の中に入り込んだような気持ちで鑑賞して」と呼びかけた。
入場料は一般400円ほか。問い合わせは東山魁夷せとうち美術館、電話0877-44-1333。
(四国新聞・2025/07/10掲載)