京都市立芸大で学んだ香川の作家らのグループ「思可牟(しかむ)」(後藤健吉代表)の展覧会が香川県高松市塩江町の高松市塩江美術館で開かれている。絵画、漆芸、立体など多彩なジャンルの力作が並び、個性的な空間を創り出している。8月3日まで。


ユニークな作品が並ぶ思可牟展=香川県高松市塩江町、高松市塩江美術館


 「思可牟」は「昔」を逆から読んだ造語。古い芸術からの脱却を目指す意志を込め、漆芸家の故明石朴景さんが名付けた。同展は毎年開催しており、今回で39回目。20~70代19人による計33点を紹介している。
 後藤さん(高松市)は平蒔絵(まきえ)の新作「啓示」を出品。黒漆をバックに、約60年前の実家の外観などを描いている。写真のような精密さで、平面でありながら奥行きを感じさせる。
 2024年に大学院を修了した田村久留美さん(京都市)は「設置する」という行為に着目して行ったパフォーマンス映像や、その際に使用したテントを展示。先鋭的な表現が目を引く。このほか、子どもの動きをモチーフにしたオブジェや、鹿を模した繊細な切り絵など、それぞれの創造性に触れることができる。
 後藤さんは「さまざまなジャンルの作品を展示しているので、自分の好きなものを見つけるような感覚で楽しんでもらえたら」と話している。
 入場料は一般300円ほか。問い合わせは高松市塩江美術館、電話087-893-1800。

(四国新聞・2025/07/11掲載)



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