色と光の表現に着目した企画展が、香川県高松市塩江町の市塩江美術館で開かれている。郷土とゆかりのある江戸健、熊野俊一、小林正六らによる計約20点を紹介。天窓から柔らかな光が差し込む会場で、それぞれが追い求めた多彩な色と光を感じることができる。8月24日まで。


郷土にゆかりのある作家らの色と光の表現に着目した企画展=香川県高松市塩江町、市塩江美術館


 猪熊弦一郎に師事した江戸(1927~2017年)=丸亀市出身=は抽象画を多く描いてきた。このうち「対応する時差の祈り」シリーズは、姉の手術成功を願って制作、色合いから江戸の深い精神性が浮かび上がっている。
 同館に300点以上を寄贈し、開館のきっかけとなった塩江町出身の熊野(1908~2005年)は何度も渡欧し滞在制作していた。ヨーロッパの日差しの下で生まれる色彩に引かれていたといい、滞在先の風景を表現した「サンタ・マリア(B)」など鮮やかな作品が並んでいる。
 小林(1917~2006年)=高松市出身=は県内の小中学校で約40年間、美術指導に当たった。シャガールの影響を受けていたといい、子どもや動物をモチーフにすることが多かった。画面の中では詩的で幻想的な風景が広がっている。
 また、マルク・シャガールが手がけたギリシャの小説「ダフニスとクロエ」の挿絵のリトグラフもあり、空間を彩っている。
 担当学芸員は「太陽などの自然の光と、祈りや信念といった精神的な光、それぞれが持つ豊かさを楽しんでほしい」としている。
 入場料は一般300円ほか。問い合わせは高松市塩江美術館、電話087-893-1800。

(四国新聞・2025/07/17掲載)



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