国の特別名勝・栗林公園(香川県高松市栗林町)の開園150周年を記念し、重要無形文化財保持者(人間国宝)の大坪喜美雄さん、宝生欣哉さん、三島元太郎さんや宝生流宗家の宝生和英さんらを迎えた「栗林公園薪能(たきぎのう)」が10月に同園で開かれる。志度寺(香川県さぬき市)の伝説に基づく能「海人(あま)」や源平合戦を題材にした「八島」、めでたい場で上演される「高砂」など特別な演目をそろえ、夜の大名庭園を幻想的な雰囲気で包み込む。


昨年、23年ぶりに開かれた「栗林公園薪能」の様子

昨年、23年ぶりに開かれた「栗林公園薪能」の様子


 同園での薪能の公演は昨秋23年ぶりに行われ、2年連続。かつて藩主の下屋敷があった商工奨励館西側の檜(ひのき)御殿跡(芝生広場)に紫雲山を背景とする野外の能舞台を設け、閉園後の静寂の中、かがり火が揺らめく幽玄の世界を堪能できる。
 同園観光事務所によると、能は武士のたしなみとして高松藩でも大切にされ、初代藩主・松平頼重の時代から檜御殿で催された。中でも、松平家の12代当主・頼寿は宝生流の熱心な愛好家で、1919(大正8)年には、同じく同流を好んだ旧加賀藩の藩主・前田家から能楽堂を譲り受けたという。
 10月10日午後6時開演。演目は「海人」や「高砂」、仕舞「八島」、狂言「清水」を予定する。宝生和英さんは「高砂」でシテ(主役)を務め、志度寺に伝わる「海女(あま)の玉取伝説」に由来する演目「海人」では、大坪さんが龍女(後シテ)、宝生欣哉さんが臣下を演じ、三島さんが太鼓を担当する。
 同事務所は「歴史情緒あふれる雰囲気の中、豪華な顔ぶれの薪能をかつてのお殿様、お姫様になった気分で見てもらえれば」としている。
 チケットはロイヤル席1万6千円、S席1万2千円など。県民ホールサービスセンター〈087-823-5023〉やインターネット〈https://kenminhall.com/visitors/ticket_detail/?id=9039〉などで受け付けている。

(四国新聞・2025/07/23掲載)


栗林公園薪能



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