うどん、ラーメン、パン―。最近の昼飯を振り返ると、米を食べていない。どうりで恋しいわけだ。今日の昼飯は決まったな。どうせなら目先を変えて洋食で楽しもう。
 目印は店名の入った赤い軒先テントと、看板メニューを模した黄と赤のちょうちん。タケダ食堂(香川県高松市扇町)。いただくのはもちろんオムライス(700円)だ。


竹田さんの妙技が詰まったオムライス。紙ナプキンでくるまれたスプーンとみそ汁も「街の洋食屋さん」らしさを演出している

竹田さんの妙技が詰まったオムライス。紙ナプキンでくるまれたスプーンとみそ汁も「街の洋食屋さん」らしさを演出している


 真っ赤なカウンターの入り口近くが特等席。理由は店主竹田勉さん(89)のフライパンさばきを間近で堪能できるから。
 注文が入ると、竹田さんが卵2個を軽く溶き、創業(55年ほど前らしいが詳細不明)以来愛用のフライパンに投入。「1秒早くても、遅くても仕上がりが全然違う」という卵の火加減を見極め、薄くてふわっとした卵でチキンライスをくるり。ケチャップを添えたら、そのままできたてがやってくる。
 表面はしっかり火が通っているのに、内側は半熟。この“薄トロ”の妙技は、食べた瞬間、「これよ、これ」と思わず笑顔になる。ピリリと効いたこしょうも「子ども味」過ぎなくていい。
 今日も変わらずおいしかった。ごちそうさま。店を出ようとしたら「最近は中華丼も人気。少し味を改良したんだ」と竹田さん。何だって。オムライス一筋を貫いてきたが、次は初の中華丼か。



(四国新聞・2025/08/14掲載)

タケダ食堂


所在地 香川県高松市扇町1丁目25-37
営業時間 午前11時30分~午後2時、午後5時~8時
定休日 水、日曜
TEL 087-821-7004


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