香川県小豆郡土庄町で最晩年を過ごした漂泊の自由律俳人、尾崎放哉(1885~1926年)の資料を展示する土庄町の小豆島尾崎放哉記念館で、放哉の句を紹介する「俳句風鈴展」が開かれている。風鈴の短冊には、放哉が小豆島で詠んだ句が記されており、来館者は涼やかな音色の中で、自由律俳句の世界に浸っている。31日まで。


風鈴の涼やかな音を聞きながら、放哉の句の世界に浸る来館者=香川県小豆郡土庄町、小豆島尾崎放哉記念館

風鈴の涼やかな音を聞きながら、放哉の句の世界に浸る来館者=香川県小豆郡土庄町、小豆島尾崎放哉記念館


 小豆島尾崎放哉記念館は、放哉のついのすみかとなった小豆島霊場58番札所・西光寺奥の院「南郷(みなんご)庵」を復元した施設。風鈴展は、放哉が1925年8月20日に入庵したのを記念し、2017年から毎年この時季に開催している。
 風鈴は、赤や黄色、水色、薄い紫色など鮮やかな色合いのガラス製や、再生したペットボトルを使ったものなど計100個。同館の軒先や庭園、玄関先に飾り付けている。短冊には、放哉が小豆島で詠んだ句のうち、俳句雑誌「層雲」に掲載されたものから100句を厳選。玄関先につるされた10個の風鈴の短冊には「井戸のほとりがぬれて居る夕風」「花火があがる空の方が町だよ」など、放哉直筆の文字を複製したものが記されており、来館者は筆跡からも伝わる折々の放哉の気持ちに、思いを巡らせていた。
 同館は「小豆島の風とともに、自由律俳句の魅力や放哉の世界観に触れるきっかけになれば」と話している。
 庭の風鈴は自由に鑑賞できるが、館内への入場は中学生以上220円、小学生110円が必要。水曜休館。問い合わせは同館〈0879-62-0037〉(午前9時~午後5時)。

(四国新聞・2025/08/14掲載)



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