ベトナムの現代アーティスト4人の作品を取り上げた展覧会「共鳴のコレオグラフィー」が、香川県高松市玉藻町の県立ミュージアムで開かれている。同国の文化や暮らしを紹介する瀬戸内国際芸術祭2025の「ベトナムプロジェクト」の一環。気鋭の若手による繊細で静寂な空間が広がっている。31日まで。


展示ケースの中に設置された映像作品に浸る来場者=香川県高松市玉藻町、県立ミュージアム

展示ケースの中に設置された映像作品に浸る来場者=香川県高松市玉藻町、県立ミュージアム


 ベトナムは1986年の「ドイモイ(開放経済政策)」によって、都市化やグローバル経済への統合が進んだとされる。4人はいずれもドイモイ以降に生まれた30代で、国の変化とともに成長してきた作家によって、ベトナム社会や個人の内面を映し出すのが狙い。
 タイトルのコレオグラフィーは「振り付け」を意味し、4人がダンスを踊るように共鳴し合う構成となっている。このうち、レ・スアン・ティエンの「雪のない土地」は、雪の降る風景を映した六つの映像作品。ヘッドホンを当てて環境音を聞くことで、まるで雪国にいるような錯覚に陥る。作家は雪を体験したことがないといい、作品を通じて「その場に根付く感覚」のはかなさや曖昧さを訴えているかのようだ。
 対面の壁には、800個以上の木製ブロックを積み上げたドー・チョン・クイの「フレキシブル・スカルプチャー」が並ぶ。ブロックを自由に変化させていくのが特徴で、積み上がった作品は古代遺跡のようにも、子どもが積み木で遊んだ跡のようにも見える。
 展示担当者は「急速にグローバル化する国で育った4人の作品に触れ、同時代を生きるベトナム人がどんな思いを抱えているか知ってほしい」と話している。
 入場料は500円。瀬戸芸の作品鑑賞パスポートでも入場可。

(四国新聞・2025/08/21掲載)


香川県立ミュージアム



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