ニュース NEW
町や人、暮らし映す 特別展「東山魁夷の『窓』」 6日から 東山魁夷せとうち美術館
東山魁夷せとうち美術館開館20周年記念秋の特別展「東山魁夷の『窓』」(四国新聞社共催)が6日から香川県坂出市沙弥島の同美術館で開かれる。国内外の美しい風景や街を描いた東山魁夷(1908~99年)が、風景をどのように捉え、表現したのかを「窓」というキーワードから考察する。
魁夷は昭和を代表する日本画家の一人。今展は3章とエピローグの4部構成で、海外の町並みや自然を映す水面など28点を展示する。
第1章は「暮らしの窓」をテーマに古き町が積み重ねた時間と、人々の営みが感じられる作品を紹介する。今展のチラシを飾っている「窓」はドイツのローテンブルクでのスケッチをもとに描かれた。温かみのある壁と白枠の窓、ベンチなどが描かれ、素朴な暮らしを想像できる。
第2章の「奏であう窓」では、繰り返し並ぶ窓の面白さに注目して「内庭」や「夕かげ」をピックアップ。京都の鳥羽街道を題材にした「街道の家」は、格子戸や障子戸、2階にある虫籠(むしこ)窓など、さまざまな大きさの四角形をリズムよく描いた。
「繋(つな)ぐ窓」と題した第3章は、窓を二つの世界を区切りながらつなぐものと捉え、樹木のトンネルや唐招提寺御影堂のふすまに描かれた作品の試作を取り上げた。また、水面を境に上下対称となる構図の「静夜」では、月を水面に浮かばせることで現実の風景を幻想的な世界に思わせている。
エピローグでは魁夷の自画像とも言える「ローテンブルクの門」や随筆集を紹介。過去と未来をつないだり、理想的な人の在り方を象徴するものとして描かれた窓に出合うことができる。
会期は11月3日まで。入場料は一般800円(瀬戸内国際芸術祭秋会期中はパスポート提示で640円)ほか。問い合わせは東山魁夷せとうち美術館開館、電話0877-44-1333。
◎関連イベント
■特別講演会 13日午後1時30分から/坂出市万葉会館大ホール/定員200人/講師 尾崎正明(美術史家・京都国立近代美術館元館長)/インターネットか直接同館へ
■夕焼けコンサート 19日午後6時から/同館1階ラウンジ/定員60人/1500円/出演 高松市出身のバイオリニスト西浦詩織とピアノの中村文香、フルートの中村優花のトリオ「shiOlivia(シオリビア)/同館ホームページなどにある県電子申請・届出システムから申し込む
■学芸員によるミュージアムトーク(申し込み不要) 6、20日、10月4、18日、11月1日の各午前11時から/同館展示室/無料だが観覧券が必要
(四国新聞・2025/09/04掲載)