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工芸品彩る生き物、繊細に 高松市美・28日まで 「香川の漆芸と金工」
身近な生き物を題材とした漆芸や金工作品を紹介するコレクション展「いきもの図鑑―香川の漆芸と金工」が香川県高松市紺屋町の市美術館常設展示室で開かれている。県内出身作家らによる49点が並び、素材や技法によって変わる生き物の姿を楽しむことができる。28日まで。
江戸時代に活躍し、讃岐漆芸の基礎を築いた玉楮象谷による代表作「狭貫彫堆黒(さぬきぼりついこく) 松ケ浦香合(まつがうらこうごう)(隠し文字・松)」は、朱漆の地に黒漆の貝と「後拾遺和歌集」の和歌が掘り出されている。当時の高松藩主松平頼胤(よりたね)に命じられ同じものを18個作ったとされており、それぞれに和歌の18文字の内1文字を「隠し文字」としてあしらっている。
また「双魚置物(そうぎょおきもの)」は、高松市出身の金工家北原千鹿が金属の板を打ち出して2匹の魚を制作。泳いでいる姿を黒い漆塗りの台が水面のように映し出している。さまざまな技法を盛り込むのではなく、あえて素朴に表現し優雅に仕上げた。
ほかに重要無形文化財保持者(人間国宝)の漆芸家磯井正美によるチョウが彫られた水指や、架空の生き物を題材にした作品も並んでいる。
同館の牧野裕二学芸員は「愛らしい動物の表現がたくさん並んでいる。楽しみながら香川ゆかりの漆芸や金工に親しんでほしい」と来場を呼びかけた。
入場料は一般200円ほか。問い合わせは高松市美術館、電話087-823-1711。
(四国新聞・2025/09/04掲載)