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国産漆の魅力感じて 作家ら組織、丸亀で初の作品展 椀、箸など250点、県産も展示
香川産を含む国産漆だけを使った漆器の作品展「さぬき漆保存会 国産漆七人展」が、香川県丸亀市飯山町の「うつわ 楓」で開かれている。中国産漆を使った漆器が一般的な中、国産漆に絞った作品展は県内では珍しい。椀(わん)や箸など個性豊かな約250点を展示販売するとともに、香川の漆生産の様子を紹介している。28日まで(月曜休み)。
漆芸作家らで組織するNPO法人「さぬき漆保存会」(臼杵春芳理事長)が企画し3日から初めて開催。国内では漆消費量の9割以上が中国産で、「漆芸王国」とされる香川も同様な状況にあるが、同会では漆の地産地消を目指して、植林や漆かき職人の育成などに取り組んでいる。
香川産漆を使った椀は、黒漆を塗った上に朱漆を上塗りする手法「根来(ねごろ)」で作られた味わいのある作品で、木地も漆製。漆の枝を加工したぐい飲みは、表面に漆のかき跡がくっきりと残り、かき手の存在を感じることができる。まんのう産の漆を使った五角形の箸は、作家の名前にちなんでカリンの木で作られている。
盆やスプーン、花器なども数多く展示。漆の木くずを利用した「漆染め」の布作品もあり、優しい黄色に染まったコースターや鍋敷きが出品されている。
このほか会場には、カンナ、ヘラといった漆かきの道具の実物を展示。作家7人のうち5人は、漆かきの経験があり、漆林や漆かきの様子を紹介した写真とともに、生産現場の雰囲気を伝えている。
臼杵理事長は「国産漆は丈夫で長く使えるのが長所。後継者育成のためにも、多くの人に見に来てほしい」と話している。問い合わせは、うつわ 楓〈0877-85-8023〉。
(四国新聞・2025/09/09掲載)