香川県高松市牟礼町大町にユニークなスポットがある。お遍路さんの休憩所や引退したレトロ電車、飲食店や雑貨店、ドッグランなどが集まっており、国内外の歩き遍路や鉄道マニア、買い物客らが訪れている。年内には名城の模型を集めた施設もオープン予定で、一層にぎわいそうだ。


お遍路さんの休憩スペースや飲食店などさまざまな施設が入るスポット

お遍路さんの休憩スペースや飲食店などさまざまな施設が入るスポット


 このスポットは、志度湾近くに位置し、四国霊場85番札所・八栗寺と86番札所・志度寺の遍路道の途中にある。同町の総合土木工事会社会長でNPO法人88(エイティエイト)代表理事の笹尾正福(まさとみ)さん(71)がこつこつと整備を進めてきた。
 8年ほど前に笹尾さんが、現在カフェなどが入る元れんが工場を買い取ったのがきっかけ。トイレに困る歩き遍路との出会いや利用客の要望、店を持ちたい人の夢に応えようと、施設が次々と出来上がった。
 さらに1925年製造の琴電のレトロ車両が引退する際、引き取り手がないことを知った笹尾さんは「廃車になるのはもったいない」と、NPO法人88を立ち上げて譲渡を受けた。
 このスポットには今では、お遍路さんのためのトイレや休憩スペース、レトロ車両や鉄道カメラマンの作品を集めたスペース、ドッグランがあるほか、テナントとしてピザ店やカフェ、焼鳥店、アンティークショップなどが入り、幅広い人が楽しめる。


名城の模型と笹尾さん=香川県高松市牟礼町大町

名城の模型と笹尾さん=香川県高松市牟礼町大町


住=の作品を集めた「日本名城部屋」。既に50分の1スケールで再現した江戸城をはじめ、熊本城や大垣城などの作品が置かれており、一般公開の準備を進めている。
 笹尾さんは「よく『この場所のテーマは何ですか?』と聞かれるが、周りの人の希望を聞いていたらこうなってね」と笑う。現在は名城部屋の整備に加え、今年11月のレトロ車両の誕生100周年を祝うイベントに向けて汗を流しているそうで、「これからもみんなに喜んでもらえるような取り組みをしたい」と話している。

(四国新聞・2025/09/10掲載)


NPO法人88



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