国の特別名勝・栗林公園(香川県高松市栗林町)の前身である高松藩の大名庭園・栗林荘にスポットを当てた展覧会が同市玉藻町の県立ミュージアムで開かれている。展示史料からは、現在の様子と重なる点も浮かび上がっており、風光明媚(めいび)な姿が脈々と受け継がれてきたことが分かる。28日まで。


西側の上空から見下ろしたときの栗林荘の様子を伝える絵図=香川県高松市玉藻町、県立ミュージアム

西側の上空から見下ろしたときの栗林荘の様子を伝える絵図=香川県高松市玉藻町、県立ミュージアム


 同園が県立公園として一般公開を開始して150周年を迎えたのに合わせ、前期と後期(30日から)に分けて開催。
 栗林荘は初代藩主の松平頼重が庭園として整備を始め、歴代藩主に引き継がれた。中でも5代藩主・頼恭(よりたか)が行った整備や名所の名付けは画期的で、「掬月亭」などが今も受け継がれている。この整備に合わせて儒学者中村文輔が江戸中期に記したのが「栗林荘記」。会場では、今回初公開となる栗林荘記の全編を中心に19点を紹介している。
 同書では順路に沿って庭園の情景を説明している。現在もカエデの木が並ぶ「楓岸(ふうがん)」については「紅葉の時季に歩くと、着ているものがみな染まってしまうようだ」と自然美を描写している。
 「栗林図」は西側の上空から見下ろすように栗林荘を描いた絵図。地形や建物などが丁寧に表現されていて、同書と照らし合わせながら鑑賞すると様子を具体的にイメージできる。
 庭園内の御殿「檜(ひのき)御殿」の図や、昭和時代の栗林公園の鳥瞰(ちょうかん)図などもあり、歩みを伝えている。
 入場料は一般500円ほか。問い合わせは香川県立ミュージアム、電話087-822-0247。

(四国新聞・2025/09/18掲載)


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