外国人客の訪問先が広いエリアに広がっていることが国の地域経済分析システム「リーサス」で分かった。瀬戸内国際芸術祭で知名度が上がった島しょ部やインスタ映えスポットへの関心が誘客につながり、大型商業施設や宿泊施設にも波及効果が出ている。観光関係者らは満足度を高めるサービスに力を入れ、リピーターの獲得や口コミの拡散に期待を寄せている。


リーサスの解析で大勢の外国人観光客が訪れていることが分かった小豆島のエンジェルロード(資料)


 リーサスの解析で、外国人観光客から注目を集めているとみられる小豆島。瀬戸芸を機に一気に外国人への知名度が高まっており、土庄町のエンジェルロードやギネスブック認定「世界一狭い海峡」の土渕海峡では外国人がカメラを構える姿も目立っている。

 「1万人以上」が訪れたエリアに含まれたエンジェルロードのほか、伝統産業のしょうゆ造りの資料館「マルキン醤油(しょうゆ)記念館」(小豆島町)の周辺を訪れる人も伸びている。

 小豆島観光協会は「瀬戸芸の会期中以外でも外国人観光客が増えた。関西、中国地方から流入してくる外国人の誘客にも力を入れていきたい」としている。

 行動範囲の拡大で、郊外の大型商業施設の人気も高まっている。高松市では、サンポート高松から中央商店街、栗林公園周辺までは従来から「1万人以上」エリアが広がる人気スポットだったが、ここにゆめタウン高松周辺が加わった。

 中讃ではイオンモール綾川(綾川町)も「1万人以上」エリアに入った。店には台湾からの団体客がバスで来店し、多い時には月2千人を超えたという。電気製品や化粧品が人気で、飲食店の売り上げもアップした。同店は外国語表記のリーフレットを作成、さらなる呼び込みに懸命だ。

 外国人の増加で宿泊施設も潤う。外国人に人気で、「1万人以上」エリアに含まれるレオマリゾート(丸亀市)は高松空港との直行便が飛ぶアジア各国や地域での営業を強化、空港からのバス送迎サービスも始めた。リゾート内のホテルの宿泊者数は右肩上がりになっているという。

 「1万人以上」には届かないものの、多くの外国人が訪れる丸亀市にあるオークラホテル丸亀は、台湾の団体客からの要望に応え、無料公衆無線LAN「Wi―Fi(ワイファイ)」を整備。担当者は「料理や過ごしやすい環境でもてなし、次の誘客に結び付けたい」と話している。

(四国新聞・2019/09/17掲載)


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