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丸亀の本島・笠島地区「豊島邸」 江戸時代の民家、香川大生が改修 瀬戸芸秋会期で一般公開 日本家屋の良さ発信へ
香川県丸亀市本島の笠島地区で、香川大生が江戸時代の建築とされる民家「豊島邸」の改修に挑んでいる。民間事業者の力を借りながら内装の設計や建具のデザインなどを手がけ、日本家屋が持つ良さを体感できる空間を創出。瀬戸内国際芸術祭2025秋会期(10月3日開幕)で一般公開し、塩飽の歴史文化を発信するとともに、将来的には同地区のにぎわいづくりに生かしていく。
同大創造工学部の釜床美也子准教授の研究室(建築構法・建築史)が市の提案型協働事業の採択を受け、建築を学ぶ学生と大学院生の有志15人が参加。プロジェクト団体「KASASHIMA STUDIO」を立ち上げ、4月から改修に着手した。
豊島邸は屋根裏がある木造で、建築面積は約130平方メートル。長く空き家となっていたそうで、室内には昔ながらの土間や炊事場があり、古い畳や書籍、家財も多数残っていた。
改修では、こうした人の営みの歴史を生かしつつ、畳の和室2部屋と板の間の洋室2部屋を設け、和洋の暮らしが対比できる空間を設計。建具は障子を張り替えたほか、音響効果が期待できる組子を用いたものも製作するなどアイデアを練っている。
また、設計やデザイン、現場の施工などで協力を得るため、学生自身で企業回りを実施。多くの人に取り組みに参加してもらおうと、一般向けの組子製作ワークショップも開いてきた。
瀬戸芸秋会期が迫り、現場では急ピッチで作業が進められている。大学院2年の川嶋伸岳さん(23)は「笠島に一人でも多くの人が暮らす未来を思い描いて取り組んでいる。若い世代がここに住んでみたいと思えるきっかけにしたい」としている。
豊島邸の一般公開は10月4日から。同日は飲食や音楽を楽しめるオープニングイベントを開く。学生プロジェクトは瀬戸芸閉幕後も継続していく予定。
(四国新聞・2025/09/27掲載)