瀬戸内海の島々や沿岸部を舞台にした現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2025」(同実行委主催)の秋会期が3日から始まる。開幕を前にした1日、プレスプレビューがあり、香川県観音寺市の伊吹島などで出品作品が公開された。参加アーティストは制作のコンセプトを説明し、瀬戸芸の“最終章”となる秋会期のにぎわいに期待を込めた。


ブンポール・ポーティザンさんの作品「最後の避難所」。秋会期の開幕に向け準備は整った=香川県観音寺市伊吹島

ブンポール・ポーティザンさんの作品「最後の避難所」。秋会期の開幕に向け準備は整った=香川県観音寺市伊吹島


 瀬戸芸初参加となるブンポール・ポーティザンさん(ラオス)は、「最後の避難所」を出品。島の木材などで作った無数の手が船の造形を支える構図となっており、作家は「島の祭りで見られる神輿(みこし)に着想を得た。伝統文化は各地で失われつつあり、継承していく大切さを伝えたい」と話した。
 旧伊吹小学校の教室では、児童のマーチングバンドを再現したジョンペット・クスウィダナントさん(インドネシア)の空間作品を展示。旧伊吹小などに残されていた楽器や制服を使用し、音も鳴る仕組みで、往時のにぎやかさを想像させる。伊吹島で唯一の商店を営む合田博さん(66)は「瀬戸芸で島がにぎわえばうれしい。今週末にある秋祭りも一緒に楽しんでもらえたら」と期待した。
 秋会期の会場は14カ所。春・夏会期の7島と高松港、宇野港に、今回は本島(丸亀市)、高見島(多度津町)、粟島(三豊市)、伊吹島と新規の宇多津エリアが加わる。国内外のアーティストが手がけた新作を含む計241作品が公開され、舞台公演や周遊型のパフォーマンスも繰り広げられる。

(四国新聞・2025/10/02掲載)


瀬戸内国際芸術祭2025


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