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漆芸で感じる「秋の彩り」 香川県漆芸研修了生の26点 香川県文化会館・15日まで
自然を題材にした香川漆芸を紹介する「秋の彩り」が香川県高松市番町の県文化会館で開かれている。植物や月、昆虫などで季節感を表現した作品が来場者を楽しませている。15日まで。
漆芸を身近に感じてもらおうと県漆芸研究所がテーマを変えて開催している作品展。今回は同研究所の修了生が豊かな発想で制作した箱や器など26点を展示している。
甲斐みずきによる「彫漆手提箱(ちょうしつてさげばこ)『旅人浪漫(たびびとろまん)』」は、実際に使用できるかばんを作品に仕立てている。顔料を混ぜ乾かすのが難しい赤色の漆を表面に使い、さらにチョコレートをモチーフにした模様もあしらわれている。
満月のような形をした器の上で跳ねる2匹のウサギが愛らしい、白戸優貴子の「蒟醤菓子器(きんまかしき)『まるい月(つき)の夜(よ)に…』」は黄色から黒への繊細なグラデーションが目を引く。彫った部分に黒を混ぜた黄色で埋め戻すことで幻想的な表現に仕上げた。点彫りされたウサギからは柔らかい毛並みが伝わってくるようだ。2つの技法が組み合わされており、深みのある作品となっている。
ほかにも黒と朱の漆を混ぜた「うるみ色」で落ち葉を表現した存清の箱やコントラストでキキョウを際立たせている彫漆作品などが並び、さまざまな小さい秋に出合うことができる。
同研究所の辻孝史専門職員は「秋らしい紅葉の色や形、デザインなど表現の仕方の自由さを楽しんでほしい」と来場を呼びかけている。
入場無料。問い合わせは県漆芸研究所、電話087-831-1814。
(四国新聞・2025/10/02掲載)