県立ミュージアム(香川県高松市玉藻町)の収蔵品から世界の風景画を紹介した「ワールドツアー」が同所で開かれている。作家とともに世界を旅する気分を味わってもらおうと企画。各作家が心打たれた思い出の景色を、個性あふれる方法で表現しており、来場者を魅了している。11月3日まで。


香川ゆかりの作家による世界の風景画に見入る来場者=香川県高松市玉藻町、県立ミュージアム

香川ゆかりの作家による世界の風景画に見入る来場者=香川県高松市玉藻町、県立ミュージアム


 香川にゆかりのある作家が7作品を出品。高松市出身の柏原覚太郎の「トレド風景」はスペインの都市トレドの町並みを穏やかに表現した。青空の下に広がる古都には大聖堂の鐘楼などがそびえ立ち、画面下半分を占める小高い丘は彩度に変化をつけることで、高低差を表現している。
 アフリカ大陸のモロッコ独特の景観を描いたのは藤沢章=同市出身=。作品「ターフラウトの集落」は、ベージュ色の建物にある小さな窓や人々の黒い服装から、強い直射日光を避けて生活している様子を伝えている。表面のざらざらした質感は絵の具と砂を混ぜたもので、今にも砂煙が舞い上がってきそうだ。
 ほかにも猪熊弦一郎がニューヨークの道路とビルが交差する様子を鮮やかに表現した作品や、朝日が瀬戸内海の島々を照らす瞬間を捉えた作品などが並んでいる。
 同ミュージアムの日置瑶子学芸員は「時代や状況が異なる地域の違いを感じて、自分自身の思い出を振り返るきっかけにしてほしい」と来場を呼びかけている。
 入場料は一般500円ほか。問い合わせは香川県立ミュージアム、電話087-822-0002。

(四国新聞・2025/10/16掲載)



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