高松と徳島をつなぐJR高徳線の全線開通90周年を記念した企画展が、香川県東かがわ市引田の市歴史民俗資料館で開かれている。整備に携わった東讃地域の人や開通後のまちの様子、蒸気機関車の写真など約70点の資料を展示。関係者所有の貴重な鉄道グッズもあり、来館者の関心を引きつけている。12月22日まで。


懐かしい蒸気機関車などの写真も掲示している企画展=香川県東かがわ市引田、市歴史民俗資料館

懐かしい蒸気機関車などの写真も掲示している企画展=香川県東かがわ市引田、市歴史民俗資料館


 高徳線は1925(大正14)年の高松―志度間を皮切りに順次延長。35(昭和10)年3月に高徳線引田―板西間、阿波線吉成―徳島線佐古間が開業したことに伴い全線開通した。90周年の節目を迎えたのに合わせて東かがわ市教委が「走れ高徳線―全線開通までの物語―」と題して企画した。
 資料の中で目を引くのは、全線開通に至るまでの歴史的な経緯を記した「高徳線は斯(か)くして」。国会議員や地元議員らで組織した阿讃鉄道東讃期成同盟会が発行したもので、同会の結成から予算が確定するまでにどのような働きかけがあったのかを知ることができる。
 全線開通後に発行されたまちの名所を紹介する案内図も展示され、鉄道網の整備に伴い観光需要が高まった様子を紹介。ハマチ養殖発祥の地で観光地としても栄えた安戸池(同市引田)について、観光誘客を目的に地元から提供され、長年JR高松駅で保管されていた市指定文化財の「安戸池概要」も陳列している。
 さらに、関係者が所有している記念入場券やオレンジカード、看板といった貴重な資料のほか、懐かしい蒸気機関車などの写真も掲示。市教委は「先人の努力によって高徳線ができ、観光地として発展してきた。展示を参考に東かがわ市内や高徳線沿線の旅を楽しんでほしい」としている。
 開館時間は午前9時~午後5時(入館は同4時半まで)。無料。火曜休館。今月30日には午後1時半から同3時まで学芸員による展示解説を予定している。問い合わせは東かがわ市歴史民俗資料館〈0879-33-2030〉。

(四国新聞・2025/11/04掲載)



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