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猪熊作品で知る身近な美 街や建築、猫…「住」テーマ 四国村で展覧会・来月14日まで
洋画家・猪熊弦一郎が、住まいや都市空間を題材に描いた作品展が、香川県高松市屋島中町の四国村ミウゼアム内の四国村ギャラリーで開かれている。瀬戸内国際芸術祭2025の春、夏、秋会期に合わせて猪熊作品を紹介する企画展の第3弾。身近なものに美を見いだした猪熊の感性に触れることができる。12月14日まで。
展覧会は、瀬戸芸に訪れる訪日客らに猪熊の魅力を知ってもらうのが目的。「猪熊弦一郎 Form、People、Living 身の回りにある、秘密と美しさ」と題して、春は形、夏は人をテーマに展示した。今回の秋は「住」をテーマに絵画や小型オブジェなど約120点で構成している。
猪熊は日本で評価を受けながらも、新境地を求めて52歳で渡米し、暮らしの中で目にしたモチーフから作品を生み出した。会場では無数の線や図形を用いた「都市計画」(1962~63年)や、カラフルでポップな印象の「ニューヨーク九十五丁目の矢じるし」(79年)などが並び、米国の街が発するエネルギーが感じられる。一方、部屋でくつろぐ猫を簡略化して描いたユニークな作品もあり、愛猫家としての一面も垣間見える。
猪熊が米国などで撮影した写真も紹介。独特な形状のビル、落書きされた壁など、興味を持った対象がうかがえる。さらに、同展のキュレーションを手がけたクリエーティブユニット「SPREAD」が、猪熊作品をイメージした布の大作も会場を彩っている。
ギャラリーの学芸員は「猪熊の感性に触れ、身の回りにある美に目を向けるきっかけにしてほしい」と話している。
入場には四国村ミウゼアムの入村料(一般1600円ほか、瀬戸芸会期中は作品鑑賞パスポート掲示で同千円)が必要。問い合わせは四国村ミウゼアム、電話087-843-3111。
(四国新聞・2025/11/06掲載)

