佐賀県の有田焼を代表する名窯「柿右衛門窯」の十五代酒井田柿右衛門さんの個展が12日、香川県高松市内町の高松三越で始まった。乳白色の素地にヒマワリなどの繊細な絵付けを施した磁器のほか、香川の県花・県木のオリーブをモチーフにした新作の花瓶などが並び、来場者を魅了している。17日まで。


オリーブをモチーフにした花瓶などが並ぶ個展会場=香川県高松市内町、高松

オリーブをモチーフにした花瓶などが並ぶ個展会場=香川県高松市内町、高松三越


 酒井田家は江戸時代初期に日本で初めて赤絵磁器を完成させた名家。「濁手(にごしで)」と呼ばれる乳白色の磁肌と色絵が生み出す「余白の美」が特徴で、「柿右衛門様式」と呼ばれている。柿右衛門さんは2014年に十五代を襲名、高松での個展は初めて。
 今回は約60点を出品。本展のために制作した「濁手 オリーブ文 花瓶」は取材で訪問した小豆島で目にしたオリーブが題材。初めて黒色の顔料で模様付けした意欲的な作品で、白地に深い赤と黒などの実を描写。伝統を守りながら新たな表現を追求する作陶への情熱が感じられる。
 このほか、バラやイチゴを描いた花瓶、ドングリをモチーフにした陶額などもあり、絵付けと造形の絶妙なバランスが際立っている。
 15、16の両日は柿右衛門さんが在廊予定。

(四国新聞・2025/11/13掲載)



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