ベテラン記者のグルメ備忘録　この味を忘れない＝上海軒（香川県仲多度郡多度津町家中）創業９０年、変わらぬ味

　昼食時をとっくに過ぎた午後3時。急激におなかがすいたけど、あっさり系が食べたい。どこかあるかな…。ある。透き通ったスープの中華そばと薄味の焼き飯で決まり。目指すは「上海軒」（多度津町家中）だ。

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　初めてのれんをくぐったのは、多度津エリアを担当して1年近くたった今年2月。地元の人たちに「まだ行っとらんの」と言われ、絶対に間違いないと確信したことを思い出す。
　注文はメニュー表にない一言で決める。「両方」。これで中華そばと焼き飯が出てくる。料金は、どちらも500円（大は700円）。
　待ち時間はほんの数分。まずは中華そば。秘伝のベースに鶏がらと魚介のだしを加えて煮込んだスープは黄金色。結構飲んでもなぜか胃にもたれない。そうめんのように細い自家製麺は、すっと喉を通る。
　続いて焼き飯。そのままでもおいしいが、テーブルに置かれたソースをかけると、これが癖になる味に。小さく切った親鶏もいいアクセント。何回食べても頰が緩む。

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　実は食べる以外にも楽しみがある。店を切り盛りする4代目女性店主や従業員のお母さん方との雑談だ。いつも元気に笑い返してくれるから、エネルギーをもらえる。創業90年目の老舗。変わらぬ味だけでなく、この温かい雰囲気もずっと守り続けてください。

（四国新聞・2025/11/22掲載）

上海軒

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