香川県内にあった歌舞伎の芝居小屋やゆかりの役者について紹介する「芝居がスキ!」が高松市玉藻町の県立ミュージアムで開かれている。絵図や写真など168点が並び、当時の芝居の隆盛と熱気を感じることができる。20日まで。


中村福円が出演した際の絵看板や番付が並んでいる=香川県高松市玉藻町、県立ミュージアム

中村福円が出演した際の絵看板や番付が並んでいる=香川県高松市玉藻町、県立ミュージアム


 江戸時代「金毘羅(こんぴら)さん」の門前町と12の風景を描いた「讃州象頭山十二景之図(さんしゅうぞうずさんじゅうにけいのず)」。3カ所に「志はい(芝居)」と書かれており、新町口、高藪(やぶ)口、金山寺町の3町で歌舞伎が上演されていたことを示している。生き人形を使った催しを宣伝する「引札」というチラシもあり、芝居以外の見せ物もにぎわいを支えていたことが分かる。
 琴平町出身の歌舞伎役者「中村福円」の足跡をたどるコーナーも。演目や出演者を書いた「芝居番付」からは、東京や大阪で人気を博した福円自身が責任者となり、琴平や丸亀で地方巡業を開催していたことがうかがえる。
 さぬき市では昭和40年代まで、「馴らし芝居」と呼ばれ、地元住民を中心に構成される地芝居が行われていた。役者であり、指導者も務めた「木村国松」が鑑賞した歌舞伎以外の演劇のパンフレットも残っており、熱心な芝居好きだったことが読み取れる。志度の芝居小屋での歌舞伎に出演した時の写真や化粧道具なども紹介している。
 学芸員は「県内各地に芝居小屋があったことや、全国で活躍した琴平町出身の役者がいたことを知ってほしい」と来場を呼びかけている。
 入場料は一般500円ほか。問い合わせは香川県立ミュージアム、電話087-822-0002。

(四国新聞・2025/12/11掲載)


香川県立ミュージアム



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