瀬戸内をテーマに、香川県、東京芸術大、香川大が連携した美術展「海は人を愛する『じぶん⇄うみ』展」が、香川県高松市紺屋町の市美術館中2階展示ロビーで開かれている。国内外で活躍するアーティストと県内の中高生が、今夏実施したフィールドワークを基に作品を制作。独創的な切り口で海との関係性を浮かび上がらせている。1月12日まで。


アーティストと中高生が一緒に制作した独創的な作品が並ぶ会場=香川県高松市紺屋町、市美術館

アーティストと中高生が一緒に制作した独創的な作品が並ぶ会場=香川県高松市紺屋町、市美術館


 地域の文化芸術を担う人材育成などを目的とした連携事業の一環。2022年度からは「瀬戸内海分校プロジェクト」として展開している。東京芸大出身のアーティストらが制作をサポート、香川大は瀬戸内海の海洋調査などに協力している。
 4回目となる今年は、小豆島町の鋳造作家・柴田早穂さん、映像インスタレーションなどを手がける菅野歩美さん(東京都出身)、音にまつわる表現活動を行う西原尚さん(広島県出身)と、高松工芸高や白峰中など10校の中高生計約20人が参加し、各アーティストのチームに分かれて制作に当たった。
 柴田さんのチームは、香川大の教授らへのインタビューで印象に残った言葉をモチーフに木版画を作成。また、地元で採取された蜜蝋などを用い、海をイメージしたブローチも作り、環境との関わりに認識を深めた。
 瀬戸内海をテーマにしたボードゲームを作ったのは菅野さんのチーム。駒を進めながら貝殻を集め、その数を競うもので、赤潮など瀬戸内海で起こる事象に絡んだルールも取り入れ、特色豊かなゲームを完成させた。
 西原さんのチームは、高松市庵治町沖の高島で収集した発泡スチロール製ブイの中に、高松港などで収録した音が流れるスピーカーを埋め込んだ作品を展示。処理の難しさなどから放置され、海ごみになりやすいブイをアートに変貌させた。
 入場無料。香川県文化振興課は「アートを軸に、人と環境などさまざまなものが相互作用しながら共存していることを知ってもらえたら」としている。

(四国新聞・2025/12/27掲載)



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