工芸界で国内最大規模の公募展「第72回日本伝統工芸展」が、1月2日から香川県高松市玉藻町の県立ミュージアムで開かれる。今展では丸亀市出身の和泉香織さん(神奈川県在住)が最高賞に当たる日本工芸会総裁賞を受賞。会場には和泉さんの作品をはじめ、全国の作家による漆芸や陶芸など7部門の入賞・入選作など計220点が並び、精緻な“美の結晶”を堪能できる。18日まで。


和泉さんの「硝子重箱『織花』」

和泉さんの「硝子重箱『織花』」


 同展は陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸の7部門に全国の1061人から1128点の応募があり、入賞16点を含む542点が入選。このうち、県内在住者は14人(漆芸12人、陶芸1人、諸工芸1人)が入選した。
 全国11カ所を巡回する展覧会の8カ所目となる高松展では、重要無形文化財保持者(人間国宝)41人の作品をはじめ、入賞作と四国や香川ゆかりの作家の作品を中心に展示。漆芸部門は入選した74点全てを紹介する。
 和泉さんは1970年生まれで、京都精華大と東京ガラス工芸研究所を卒業。ガラス工芸作家の気賀沢雅人さんに師事し、2021年に東日本伝統工芸展で日本工芸会賞に輝いた。今回の受賞作「硝子重箱『織花(がらすじゅうばこおりばな)』」は、透明のガラスの中に紫色のねじれたガラス棒を入れることで、藤の花が咲き誇る様子を表現。和泉さんは日本工芸会のホームページに「試行錯誤の末、立体感のある模様に近づけた。今回の賞に恥じぬよう一つ一つ丁寧に制作していきたい」とコメントしている。


山下さんの「おぼろ月蒟醤合子」

山下さんの「おぼろ月蒟醤合子」


大谷さんの「籃胎蒟醤十二角菓子器『飛翔』」

大谷さんの「籃胎蒟醤十二角菓子器『飛翔』」


 地元の人間国宝は山下義人さん(高松市)と大谷早人さん(同)が出品。山下さんの「おぼろ月蒟醤合子(きんまごうし)」は、夜空にぼんやりと浮かぶ月を詩情豊かに再現、大谷さんの「籃胎(らんたい)蒟醤十二角菓子器『飛翔(じゅうにかくかしきひしょう)』」はグラデーションを用いて舞い上がるアサギマダラを繊細にあしらっている。

 10、17日午後6時からは閉館後に学芸員の案内で鑑賞する「プレミアムナイトツアー」(2500円)がある。希望者は旅行サイト「じゃらんnet」から申し込む。17日午後1時30分からは、地下講堂で和泉さんが受賞作の制作秘話などを語る講演会(参加無料、要申し込み)を開催する。
 入場料は一般700円(前売り560円)ほか。問い合わせは香川県立ミュージアム、電話087-822-0247。

(四国新聞・2025/12/28掲載)


香川県立ミュージアム



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