瀬戸内海歴史民俗資料館(香川県高松市亀水町)を謎解きゲーム感覚で見学できるツール「ウシンガ」が幅広い世代から注目を集めている。同館が展示している瀬戸内海地域の民具を「ミング・モンスター」に見立て、来館者がモンスターを探したり、クイズに答えたりしながら館内を巡るもの。誰でも無料で利用でき、同館は「謎解きを入り口に民俗資料に親しんでほしい」と呼びかけている。


「ウシンガ」のカード

「ウシンガ」のカード


 国の重要文化財指定を受け、同館が記念事業として企画。ゲームを通じて主体的に展示物を鑑賞し、昔の暮らしについて考えてもらうのが狙いで、ボードゲーム作家の橋口剛志さんが制作に協力した。
 「ウシンガ」は牛馬に引かせて田畑を耕す農具のこと。牛鍬(うしぐわ)から呼称が変化したとされ、香川では昭和中期ごろまで使用されたといい、まるで妖怪のような呼び名から見学ツールの名称に採用。ウシンガのビジュアルは下笠居小児童のイラストが原案となっている。


地図を片手に「ミング・モンスター」を探す来館者=香川県高松市亀水町、瀬戸内海歴史民俗資料館

地図を片手に「ミング・モンスター」を探す来館者=香川県高松市亀水町、瀬戸内海歴史民俗資料館


 利用者はまず、事務室前で30種類あるミング・モンスターのカードの中から3枚を引き、地図をもとにそのモンスター(民具)を探してカードに記されたクイズに答えていく。カードは魚の行商いただきさんの自転車「イタダキサイクラー」や、塩田で砂を集める道具「スナアツメ」などがあり、それぞれの使用目的などがクイズになっている。全問正解すれば中学生以下はモンスターのカードがもらえる。


「ミング・モンスター」のカード

「ミング・モンスター」のカード


 実際に体験した来館者は、「これは何に使うの」「昔の農業には牛が欠かせなかった」などと当時の暮らしに思いをはせながら散策し、かつて里山や海辺で使われた民具が並ぶ展示室からモンスターを見つけだした。高松市の主婦(77)は「懐かしい道具や初めて見る道具にも出合えた。モンスターの名前がユニークで、孫と一緒に巡っても楽しいかも」と満足顔。
 これまで、親子連れが来館しても短時間で館内を巡って帰るケースが多く、いかに鑑賞を深めてもらうかが課題だったという。松岡明子館長は「謎解きを通じて、重文指定された資料館の役割も知ってもらえたら」と話している。

(四国新聞・2026/01/04掲載)


瀬戸内海歴史民俗資料館



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