ニュース NEW
邦坊と邦輔、浮かぶ交流 新収蔵の13点から探る 善通寺・灸まん美術館 3月2日まで
香川県仲多度郡琴平町出身の画家で、漫画家や小説家などマルチな才能を発揮した和田邦坊(1899~1992年)の弟子・邦輔に関する新収蔵資料が、善通寺市大麻町の灸まん美術館で展示されている。写真や作品など13点を通して2人の親密な交流が浮かび上がっている。
弟子は、秋田県出身の三浦勇太郎氏(1910~84年)。10代の時に、時事漫画家として活躍していた邦坊と出会ったとみられ、住み込みの書生として支えた。邦坊の帰郷後は「紙左馬( かみさま )」と改名し、漫画や挿絵画家、編集者として活躍した。
香川ではその存在があまり知られていなかったが、2023年に千葉県在住の邦輔の遺族から提供された資料を基に同館が調査した結果、弟子であることを確認。その後も遺族から複数回に分けてアルバムや漫画資料などの寄贈があった。
今回の展示はいずれも初公開。中でも邦輔が描いたカエルの色紙絵は、邦坊が手がけた本の装丁を手本にしており、師の作風を慕って模写する姿が想像できる。さらに、邦輔が雑誌に掲載した随筆には邦坊が登場し、作中で師のことを「先生( おやじ )」と表現。笑いを誘うような内容からも2人の親密な仲がうかがえるという。
会場には邦輔が所蔵していた邦坊の書籍や土産物のうちわ、はがき絵なども並ぶ。邦坊が帰郷してから2人が会った記録はなく、邦坊が贈ったものや、邦輔が自ら集めたものとみられる。
西谷美紀学芸員は「邦坊は地元・香川で弟子の存在を明かさなかったが、作品や書簡を贈って交流を続けており、それを邦輔が大切に保管していたことからも、師弟を超えた家族のような関係性が想像できる」と分析。「資料を通じて香川で“再会”した2人の温かい交流に触れてほしい」と話している。
灸まん美術館で開催中の「邦坊のへんてこアート展」のコーナー展示。会期は3月2日まで(火、水曜定休)。入場料は一般600円ほか。
(四国新聞・2026/01/05掲載)

