「瀬戸内国際芸術祭2019」秋会期が開かれる本島(丸亀市)で、浄瑠璃と劇団前進座の公演が会期中に行われる。会場は塩飽大工により1862年に建てられた市指定文化財の芝居小屋「千歳座」。塩飽水軍の本拠地として栄えた本島で、時代の先端を行く現代アートの鑑賞とともに、島の歴史を感じさせる小屋で芝居を楽しめるまたとない機会になりそうだ。


1862年に建てられた丸亀市指定文化財の芝居小屋「千歳座」


 浄瑠璃の開演は29日午前10時15分。市沖の広島出身の作家、広谷鏡子さんが古里に建てた「もんたん亭」で12年前から続けている浄瑠璃の会を本島で催す。

 演目は「ととさんの名は十郎兵衛、かかさんはお弓と申します―」のせりふで知られる「傾城(けいせい)阿波鳴門」の「巡礼歌の段」。両親を探して旅をする娘の切ない思いや、親と名乗れない母の葛藤を描く。人形が登場せず語り手の太夫と三味線だけの素浄瑠璃で演じる。実際に浄瑠璃を語るワークショップも行われる。

 前進座の「ひとごろし 喜劇一幕」は10月6日の正午開演。山本周五郎の滑稽ものが原作の笑劇だ。

 臆病者の六兵衛は、「兄のせいで嫁げない」と泣く妹のために、引き受け手のいない上意討ちに名乗りを上げた。「人を殺したり、切腹するのを見たりするのは好きじゃない」六兵衛は剣豪にどう立ち向かうのか―。4人の出演者が役にも語り手にもなるほか、楽器や音具を操り、馬やセミ、雨や風鈴まで演じきる。

 千歳座は木烏(こがらす)神社内にあり、境内に観客席が設けられる。いずれの公演も市の瀬戸芸本島実行委などが開催する。浄瑠璃は前売り800円(当日千円)、島民は500円。前進座の公演は前売り千円(当日1500円)。ともに中学生以下無料。問い合わせは同実行委〈0877(24)8822〉(市文化課)。

(四国新聞・2019/09/25掲載)

千歳座


所在地 香川県丸亀市本島町670 木烏(こがらす)神社内
TEL 0877-24-8822(市文化課)


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