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ベテラン記者のグルメ備忘録 この味を忘れない=お食事処つるぎ(香川県綾歌郡宇多津町)おかず50種、選ぶ楽しみ
「迷うわぁ」。行列の前を行く常連客が言う。その響き、本当に困っている訳ではない。どう聞いても、楽しんでいる。香川県綾歌郡宇多津町の「お食事処つるぎ」。棚にずらりと並ぶおかずの数は最大50種類余り。そこから気に入った皿を選び取っていく。その人は「決めた、きょうは唐揚げや」。さて次は、自分が楽しむ番だ。
1皿250円のメインはトンカツか。いや、シシャモの三杯酢も捨てがたい。焼いたシャケも脂が乗ってつやつやと光っている。300円の2種類セットもある。胃袋と相談。ここは元気に先の常連さんと第一印象の折衷案、唐揚げ・トンカツのセットといこう。
続いて一律100円の小鉢コーナー。マカロニサラダやオクラもいい雰囲気だが、味の染みこんだナスの揚げびたし、栄養を考えたホウレンソウのおひたしをお盆の上に。レジへ進むと「めしは? 大、中、小」と店主池田昇大さん(44)の店中に通る声。大(250円)とみそ汁(50円)と告げると、すかさず「はい800円、毎度!」。
昇大さんの父、繁己さん(76)が1992年に開業し、家族で営む大衆食堂。何度訪れても、働く人たちで混雑している。「労働者を食で支えていますね」と聞くと、親子は「いえ、支えられているんです」。選ぶ楽しさと家庭の味でおなかいっぱい。また来ます。
(四国新聞・2026/05/22掲載)

