アートで社会を「解剖」 5作家のグループ展 高松市美術館・来月4日まで
現代美術のグループ展「高松コンテンポラリーアート・アニュアルvol.8」が、高松市紺屋町の市美術館で開かれている。多彩な作家が独自の視点から社会を見つめ直した作品を取り上げている。11月4日まで。
現代美術のグループ展は現代美術の潮流をつくる作家を紹介する年に1度の特別展で、2009年から開催。9回目の今回は「社会を解剖する」をテーマに、5人を招いた。
東京都出身の碓井ゆいは、47都道府県の郷土料理をテーマにしたインスタレーションを展開。壁面の中央には第2次世界大戦末期に作成された日本の分割統治計画の地図が貼ってあり、現在とは異なる道を歩んだ社会の可能性を示唆している。
北海道出身の盛圭太は、9月に市美術館で行った公開制作の成果を披露。糸とグルーガンを用いたドローイング「バグ・リポート」シリーズの最新作は、縦240センチ、横850センチの湾曲した壁に糸を張り巡らせた大作。ほつれなどの予期しない部分を通じ、社会の亀裂やエラー(失策)を表現している。
東京都出身の村上慧は同展の看板で四方を囲ったものを住居と捉え、市美術館付近に滞在した記録と住居を「広告看板の家」と題したミクストメディアとして展示。内部に入ることができ、村上が食品を買った際のレシートや、就寝時に使った蚊帳などが見られる。
緻密な描き込みの絵画や立体、音楽を駆使して独特の世界観を表現した照沼敦朗=千葉県出身=の作品群や、人々が協力して巨大な建造物を引きおこすプロジェクトで人と土地のつながりを視覚化する加藤翼=埼玉県出身=の映像作品も見どころ。
入場料は一般800円ほか。問い合わせは高松市美術館、電話087-823-1711。
(四国新聞・2019/10/17掲載)
高松コンテンポラリーアート・アニュアルvol.8
所在地 | 香川県高松市紺屋町10-4(高松市美術館) |
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営業時間 | 9:30~19:00 |
定休日 | 月曜日(祝休日の場合は翌日) |
TEL | 087-823-1711 |