“旅するチョウ”もひと休み―。長距離を移動することで知られる「アサギマダラ」が善通寺市の吉原地区で確認された。住民有志でつくる「吉原アサギマダラを迎える会」が、管理している畑に植栽した好物の花・フジバカマの蜜を求めて優雅に舞っている。遍路文化が息づく土地だけに吉原アサギマダラを迎える会のメンバーは、「愛らしい“お遍路さん”が立ち寄ってくれたようでうれしい」と喜んでいる。


フジバカマの蜜を求めて優雅に舞うアサギマダラ。円内は拡大写真=善通寺市碑殿町


 アサギマダラは約2千キロを移動するチョウで、毎年春と秋に生息地を移動する「渡り」を行う。この季節は、岐阜県や長野県などの高原で夏を過ごした後で、越冬のため台湾や南西諸島に向かって南下している。長旅のエネルギーを蓄えようと、フジバカマの蜜を求めて各地に立ち寄っているという。吉原アサギマダラを迎える会は吉原地区をアサギマダラの舞う里にしようと昨年12月に発足した。

 飛来した場所は、吉原アサギマダラを迎える会の山下香代子会長(善通寺市碑殿町)の畑。フジバカマが植わっている約100平方メートルの畑で10月11日にアサギマダラの飛来を確認。以降、多い日には10匹ほどが優雅に飛び交い、英気を養うようにじっくりと蜜を吸う姿が見られる。

 吉原アサギマダラを迎える会は今年3月、アサギマダラが羽を休める場所を増やそうと、善通寺五岳の里・市民集いの丘公園と、吉原小学校(共に同市吉原町)に株分けしたフジバカマを植栽。吉原アサギマダラを迎える会によると、まだ善通寺五岳の里・市民集いの丘公園や吉原小学校では飛来を確認できていないが、近くに住むメンバーの自宅には飛来しており、間もなく立ち寄ってくれるのではないかと期待している。

 山下会長は「多くの人に見に来てもらい、アサギマダラのことを知ってほしい」と話している。吉原アサギマダラを迎える会によると、今年は台風の影響などで南下は遅めで、11月上旬まで姿を見ることができそうとしている。

(四国新聞・2019/10/31掲載)


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