四国急行フェリー(高松市)が高松―宇野間のフェリーの運航を12月中旬にも打ち切る方針を固めたことが8日、関係者への取材で分かった。利用者の減少や収益の悪化を改善できず、瀬戸内国際芸術祭2019が閉幕したタイミングで決断したとみられる。来週にも四国運輸局に届け出る見通し。1910(明治43)年に国鉄の宇高連絡船の就航で始まった宇高航路は109年の歴史に幕を下ろすことになる。


廃止の見通しとなった宇高航路のフェリーに乗り込むトラック=8日午後7時40分ごろ、高松港

廃止の見通しとなった宇高航路のフェリーに乗り込むトラック=8日午後7時40分ごろ、高松港


 宇高航路は、国道フェリー(高松市)が2012年10月に運航を休止し、現在は四国急行フェリーのみが運航。公共交通機関の一つとして地元の経済や市民生活を支え、荒天時の本四間の輸送でも役目を担っている。

 宇高航路のフェリーは1960年代にかけて、四国急行フェリーの親会社の四国フェリー(高松市)と国道フェリーの前身の宇高国道フェリーなど3社が運航。瀬戸大橋開通前の87年度には年間約400万人が利用した。

 2009年に1社が撤退した後、段階的に減便を進めてきた四国フェリーと国道フェリーの2社は10年にそろって航路廃止を表明。その後、国や地元自治体が航路維持を目指して協議会を発足。2社とも利用者らの要望を受けて航路の廃止届を取り下げたが、12年に国道フェリーが運航休止して以降は1社のみで運航してきた。

 13年には運航を子会社の四国急行フェリーに移管。香川、岡山2県と高松、玉野2市は、15年に同社に計3千万円の財政支援を決定。16年度も同額を支援したが、1日10往復を5往復に減便した17年度からは支援額を計1500万円に減額。19年度も同額を予算に計上している。

 行政からの支援を受けても利用者は年間約13万6千人(18年度)まで減少し、収支の改善には至らなかった。

(四国新聞・2019/11/09掲載)



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