工事落札業者の指名停止などで3度にわたって工事着手が延期された史跡高松城跡(香川県高松市玉藻町)の「桜御門」の復元整備事業が、間もなく再スタートを切る。市は同事業の工事請負契約議案(契約額2億9150万円)を開催中の12月定例議会に提案しており、19日の最終日に可決されれば、年明けにも工事に着手し、2021年度中の完成を目指す方針だ。


高松市が復元する高松城跡「桜御門」の完成予想図

高松市が復元する高松城跡「桜御門」の完成予想図


 桜御門は披雲閣の正門に当たる櫓(やぐら)門。高松市文化財課によると、文献などでは、往時は門に桜の幔(まん)幕を張っていたことが記載されており、桜御門の由来になったとみられている。当時の文部省の調査で1944年に国宝に指定されることが決まっていたが、45年7月の高松空襲で焼失した。

 復元に向けては今年の瀬戸内国際芸術祭2019に合わせてオープンしようと、16年度までに石垣の積み直しを行い、本体の実施設計も完了。17年度には工事着手を見込んでいた。

 しかし、17年度以降、工事落札業者の指名停止や不祥事で契約解除が相次ぎ、3度にわたり事業のストップを余儀なくされた。市文化財課の担当者は「建築基準法の適用除外などの課題をクリアし、工事中に使う迂回(うかい)路の整備も済ませた。残っているのは本当に上物だけ」と話す。

 復元される櫓門は幅約12メートル、奥行き約5メートルで、地上からの高さは約9メートル。門の扉上部には見張り小屋が設けられる。今回の工事に向けては、10月に一般競争入札を行い、清水建設四国支店(高松市)が落札。工事期間は契約締結から2年程度を見込んでおり、来夏ごろには現場での工事も本格化する見通しだ。

(四国新聞・2019/12/14掲載)

史跡高松城跡


所在地 高松市玉藻町2-1
TEL 087-851-1521

高松城【玉藻公園】公式ウェブサイト



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