香川県高松市塩江町安原上御殿場。香東川沿いにコンクリート製の橋脚群がひっそりと立っている。昭和初期に高松市仏生山町―塩江温泉郷の約16キロを結んでいたガソリンカーの鉄橋跡だ。


生い茂る木々の中、ひっそりとたたずむガソリンカーの鉄橋跡=香川県高松市塩江町

生い茂る木々の中、ひっそりとたたずむガソリンカーの鉄橋跡=香川県高松市塩江町

 塩江温泉鉄道が営業を開始したのは1929(昭和4)年のこと。ガソリンエンジンで走行する小さな車体は「マッチ箱」の愛称で住民に親しまれ、戦時下の41年、ガソリンの入手が難しくなったことを理由に廃線となるまで、観光客や学生らに利用されていた。

 生い茂る木々に隠れる鉄橋跡を眺めながら、開業からの歳月に思いをはせていると、鉄橋跡が風景と同化し、現代アートのように見えてくるから不思議だ。

 そう言えば、香川高専高松キャンパスの生徒らがガソリンカー復活プロジェクトを進めており、今春に模型車両を公開していたことを思い出した。実物大のアート作品の制作も目指しているそうで、昔を知る人を楽しませることだろう。

(四国新聞・2019/07/07掲載)



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