工芸界で最大規模の公募展「第66回日本伝統工芸展」が、1月2日から高松市玉藻町の県立ミュージアムで開かれる。伝統技法を磨き、新たな時代の美を追究した作品の数々が新春を華やかに彩る。19日まで。


太田儔「籃胎蒟醤箱『さくら』」


 陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸の7部門に全国から1280人、計1371点の応募があり、入賞16点を含む576点が入選。県内在住者は17人(陶芸1人、漆芸15人、諸工芸1人)が入選した。


山下義人「山装う蒟醤箱」


 第66回日本伝統工芸展は全国11都市を巡回。高松展では、重要無形文化財保持者(人間国宝)46人の作品や入賞作をはじめ、四国在住作家、県漆芸研究所の修了生ら香川ゆかりの作家の入選作など計約280点を展示する。


三好かがり「彩切貝蒔絵乾漆筥『月の韻』」


 漆芸部門は全入選作82点を紹介。地元の人間国宝では故太田儔=高松市=と、山下義人=高松市=の2人が出品する。太田が生前に出品した「籃胎蒟醤(らんたいきんま)箱『さくら』」は、自身が創案し、絵画的な表現を実現した布目彫り蒟醤の技法を使用。漆黒に浮かぶ桜を繊細に描いており、春の訪れを感じさせる。山下の「山装う蒟醤箱」は、香川漆芸の特徴である色漆のみで秋の山の色を表現した。

 旧山本町出身の三好かがりの入賞作「彩切貝蒔絵乾漆筥(いろきりがいまきえかんしつばこ)『月の韻』」は「枕草子」の夏の一節をイメージした作品。貝と金ぱくも使って彩色され、幻想的な雰囲気が漂う。

 入場料は一般620円(前売り500円)ほか。11日13:30からは色絵磁器の人間国宝・今泉今右衛門による講演会。問い合わせは県立ミュージアム、電話087-822-0002。

 会期中は作家が陳列品解説を行う。日程は次の通り。各日とも13:30から。

 4日 近藤裕美子(諸工芸)▽5日 栗原慶(陶芸)▽12日 佐々木正博(漆芸)▽18日 石原雅員(漆芸)▽19日 亀田緑光(陶芸)

(四国新聞・2019/12/26掲載)

第66回日本伝統工芸展


所在地 香川県高松市玉藻町5-5
開館時間 9:00~17:00
定休日 毎週月曜日(月曜日が休日の場合は、原則として翌火曜日)、12月26日~1月1日 ※ 特別展開催中は、月曜日が開館となる場合があります。
TEL 087-822-0002


関連情報