800枚近くの水田が美しい波形の模様を描き、農林水産省の「棚田遺産」に選ばれている香川県小豆島町中山の「中山千枚田」で、ヒガンバナが見頃を迎えている。猛暑の和らいだ9月下旬から咲き始め、黄金色に色付いた稲穂と一緒に、真っ赤な花が秋の風に揺れる様子が、訪れた観光客らに癒やしを与えている。


中山千枚田のあぜ道で、鮮やかな花を咲かせるヒガンバナ=小豆島町中山


 ヒガンバナはマンジュシャゲとも呼ばれるヒガンバナ科の多年草。球根には毒があり、田畑を荒らす動物の侵入を防ぐ目的で、農家があぜ道などに植えている。
 中山千枚田では2009年、地元のボランティアグループが、地権者から了承を得た田んぼの周辺に約550個の球根を追加で植え付けた。以降、稲刈り時期になると、あぜを鮮やかに彩っている。
 今年は猛暑の影響で開花が遅れていたが、9月下旬から徐々に咲き始め、あぜ道のあちらこちらで赤い花が姿を見せている。夫婦で訪れていた神戸市の自営業、広田豊さん(65)は「秋の風情を感じる。手入れが行き届いた田んぼで、赤色が見事に輝いていて気持ちが良い」と笑顔で話していた。

(四国新聞・2024/10/04掲載)



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