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高松城の建築美、版画で 県立ミュージアム・来月1日まで 2企画展、特別展と連携 御座船「飛龍丸」の構造伝える展示も
香川県立ミュージアム(香川県高松市玉藻町)で開催中の特別展「高松城―海にのぞむ城のものがたり―」(四国新聞社共催)と連携した2企画展が同所で開かれている。いずれも、6月1日まで。
2022年に死去した観音寺市出身の紙版画家・井上員男の「アート・コレクションニッポンの城」は、「日本の城シリーズ」から抜粋した四国5城や国宝の姫路城などを描いたモノクロの8点を紹介。
「高松城」は、明治17年に取り壊された天守に加え、現存する艮櫓(うしとらやぐら)や月見櫓をはっきりとした濃淡で表現。作品の3分の1を占める海には高松藩主の御座船「飛龍丸」と船団が浮かび、高松城が「海城」として有名だったことを表している。
見上げるような構図が特徴的な「丸亀城」は、城郭と大手門との間に雲のような描写を入れることで、日本一の高さを誇る石垣を際立たせている。
また、江戸時代の高松藩主が参勤交代などで使用した御座船「飛龍丸」の装飾や内部を記録した絵図を集めた展示では、県指定有形民俗文化財8点の絵図を公開。
このうち五代高松藩主・松平頼恭(よりたか)の時代の飛龍丸の全体を描いた「高松藩飛龍丸船明細切絵図惣図(たかまつはんひりゅうまるふねめいさいきりえずそうず)」は紅白の家紋や金がちりばめられ、大名の権威を示す華やかな装飾が見て取れる。
「艫真向之図(ともまむかいのず)・御屋形之図(おやかたのず)」は藩主の部屋として使用された屋形1階の内部構造を記録。会場では実物大の「御座の間」を展示しており、桜など伝統的な草花の絵が描かれた障壁画を間近に見ることができる。
(四国新聞・2025/05/29掲載)