香川県内の人気うどん店の一部が「土日祝日や繁忙期の完全予約制」や、待ち時間を短くできる有料チケット「ファストパス」の導入を始めている。周辺の路上駐車による混乱や、長時間に及ぶ行列を抑制するのが目的。IT技術も活用し、うどん店が混雑解消に取り組む一例として注目を集めている。


「おうどん 瀬戸晴れ」の前で長い列をつくる客=香川県高松市牟礼町

「おうどん 瀬戸晴れ」の前で長い列をつくる客=香川県高松市牟礼町


 7月からの土日祝、大型連休など繁忙期の完全予約制を打ち出し、今月12日から受け付けを始めたのは高松市牟礼町の「おうどん 瀬戸晴れ」。専用駐車場34台分を用意し、誘導員も配置しているが、連休などには駐車場の空きを待つ車が店舗前の県道で行列をつくり、近隣から苦情が入ることもあった。遠方から来店しても玉切れで食べられないことや、暑い時季には並んでいるうちに体調を崩す人もいた。
 こうした状況を受け、店主の古賀毅さん(40)は夏休みを前に、特に近隣住民に理解が得られる対策について検討。首都圏のラーメン店やうどん店などが取り入れているネットによる完全予約制に行き着き、半年程度の試験導入を決めた。1枠30分で、予約の際に1人500円の手数料がかかる。手数料については交流サイト(SNS)などで賛否の意見が飛び交っているが、店主は「予約システムの利用料や無断キャンセル防止などのために必要」と説明。並んでもらうより回転率が落ちるため、店の売り上げは下がる見込みだという。
 丸亀市田村町の「手打うどん 竹寅」は昨秋から、行列の一番前にスキップできる「ファストパス」を導入した。店前の2次元コードをスマートフォンで読み取り、パス(1人350円~)を購入、店員に購入画面を見せて利用する。並んでいる客が入店できない状況を防ぐため、購入者が増えるたびパスは値上がりする。今年の大型連休には1日約10組の利用があり、大半が観光客だった。同市ではほかに1店が同様の仕組みを採用している。


店頭の2次元コードを読み込むと出る「ファストパス」の購入画面。待ち人数に応じて価格が変動する

店頭の2次元コードを読み込むと出る「ファストパス」の購入画面。待ち人数に応じて価格が変動する


 食のイベントや経営に詳しい香川大大学院地域マネジメント研究科の松下元則准教授(経営学)は「並ぶしかない現状では、時間と体力のある人しか食べに行けなかった。そうでない人にとって予約制やファストパスは画期的で、数百円の手数料なら非常に安い」と指摘。待ち時間なく確実に食べられ、食品ロスを減らせるなど、客にも飲食店側にもメリットがあるとし、「安くて気軽な店も、高価格でサービスが手厚い店もあっていい。同様の取り組みは今後広がっていくだろう」と話した。

(四国新聞・2026/06/19掲載)


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